ブナ(ブナ科、ブナ属)は、大山を代表する樹木。樹皮は灰白色で見分けやすい。樹皮の色でシロブナやクロブナがあり 大山山系ではシロブナが多い。古木になるとコケ類が着生していることが多い。根張りは比較的浅いが、細根が多く密なため保水力があり、水資源の確保には欠かせない樹木でもある。秋には、ひし形の細い実がつく。味はシイの実に似る。
ブナの古木になると樹齢200年にもなる。つた類やこけ類がからまり登山者を魅了する。古木は風水害に弱くなりやがて朽ちて倒木となる。大きなブナ林は自然の輪廻をかいま見ることができて貴重でもある。ブナの寿命は300年前後と言われている。

大山周辺のブナ散策は、夏山道だと三合目から五合目あたり。冬場にここまでくると最高のブナの姿が見られる。中宝珠のあたりもブナが多い。大山滝の上部から大休峠のあたりもよい。南大山では三ノ沢、木谷、鳥越峠周辺にも古木が多い。船上山では、船上神社から勝田ガ山にかけて広大なブナ林が続く。ブナ林には野鳥も多く、ジックリ歩いてみたい。このような森林は、森の癒しを肌で感じることができる場所でもある。

ブナの実は、初夏のころになると雨風で落下しはじめる。登山道脇に実を見つけると近くに大きなブナの樹を見つけることがある。その近くにはブナの小さな幼木があちこちに見られる。やがて世代が代わり、又大きく育ち始めるのである。

ミズナラ(ブナ科、コナラ属)は、ブナ林に混在する落葉樹。大山周辺には巨木が見られる。樹皮は縦じま模様で灰褐色。川床から大休峠、大山滝にかけて大木が点在する。幻のマイタケは、この幹の根元周りに生えると聞く。巨木が狙い目とか。キノコ採り師は、盆過ぎから探し歩くと言っていた。足元のヘビ対策には磯長靴がベストらしい。

船上山は大山火山の外輪山。溶岩の断崖が数キロにわたり続く、山岳景勝地。かつては、山岳仏教の霊場として、中世の戦場として史跡が残る。又、ブナやミズナラなどの自然林が豊富に残る。森林散策、森林の写真に最適。

ケヤキ(ニレ科、ケヤキ属)は、身近な樹木で知られる。硬い材質は、家具や工芸に利用されてきた。昔は、一枚板の「板戸」をよく見かけたものである。船上山では、登山道の途中に大木が今に残る。

船上山の尾根道は、なだらかな尾根が数キロにわたり続く。ブナやミヅナラなどの自然林が尾根筋に続く。霧の森林は神秘的でさえある。

登山道脇には、朽ちた倒木もあちこちに見られる。樹齢250〜300年を過ぎると、枯れはてやがて倒木となる。倒木ができるとポカッ−と穴があいたように明るくなる。日ざしが幼木を育て始めるのだ。森林のサイクルが見て取れる貴重な地域でもある。

船上山の森林散策は、船上神社周辺から勝田ガ山に至る尾根道が最適。目安としては船上神社から天皇屋敷跡あたりとなる。

ミズナラの巨木になると、様々な植物が着生し太古の世界を連想させる。船上の尾根道には巨木が点在する。この山域は雨雲も出やすく、樹木の生育をうながすのであろう。

ヤマボウシ(ミズキ科、ミズキ属)は、庭木として親しまれる。四枚の白い弁は総苞弁で山中ではよく目立つ。花は花弁の中央に丸く小さな花が集合する(花期、6/中)。秋には赤い実が付き、食用になる。船上山の尾根筋には多く見られる。

タブノキ(クスノキ科、タブノキ属)は、別名「イヌグス」とも呼び、打吹山には巨木が多い。。

シラカシ(ブナ科、コナラ属)。秋には円錐形の小さな実がなる。一見シイノの実に似る。